見える身体で、ととのうということ|術後はじめてのサウナ

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サウナ解禁の日

約50日ぶりのサウナだった。
場所は、ホームサウナの 稲佐山温泉 ふくの湯

午前中に、白内障手術から1か月後の診察を終え、
ようやく主治医からサウナOKの許可をもらった。

その日を、ずっと待っていた。
仕事終わりの夕方6時。週末まで待ちきれず、少し浮き足立ちながら、ふくの湯へ向かった。

50回目なのにはじめまして

サウナイキタイというアプリの記録を見返すと、
この日がちょうど50回目の訪問だった。

通い慣れた、いつもの場所。
なのに、なぜだろう?
脱衣所に立った瞬間から、はじめましての感覚だった。

照明の明るさも、壁や床の色も、
「こんなだったっけ?」と思うほど新鮮で、
ついキョロキョロしてしまう。

これまで私は、
コンタクトもお風呂用メガネも使わず、
裸眼(視力0.1)でこの浴場を利用していた。
浴室や露天風呂の段差にだけ気をつけていれば、
見えていなくても、さほど不便は感じていなかった。

サウナ室でテレビを見る

サウナ室に入ると、その違いはもっとはっきりした。

これまで、サウナ室のテレビは
画面を見ずに、音だけをぼんやり聞いていた。

内容も特に気にせず、
ただ流れている声を、熱の中で受け取るだけ。

それがこの日は、
画面がくっきりと目に入ってきた。

ちょうど放送されていたバラエティ番組に、
思わずクスッと笑ってしまう。

30分ごとに始まるオートロウリュ。
立ち上る湯気を、気づけばじっと見つめていた。

水風呂と夜景と

冬の水風呂は15℃台でキンキンの冷たさ。
肌に当たる水の雫が、照明に反射してキラキラと光って見えた。

そして、外気浴のために露天エリアへ。

稲佐山の中腹から眺める夜景は、
ふくの湯の自慢のひとつだ。

これまでは、その絶景も
ただ“ぼんやり”としか捉えられていなかった。

今までは、
タオルを顔にかぶせて視覚を遮断し、
しっかり自分の内側に入り込んで「ととのう」。

それが、私のサウナだった。

でもこの日は、
たまにそっと目を開き、
夜景を眺めながら、静かに呼吸をする。

見えるようになったんだなぁ、と。
ただ、それだけを静かに噛みしめていた。

思い切ってよかった

正直に言えば、
手術を決めるまでは、恐怖や不安の方がずっと大きかった。

それでも、
「この先には、今とは違う世界が待っているはず」
そう自分に言い聞かせることで、なんとか一歩を踏み出した。

あのとき、思い切って手術を受けて本当によかった。

同時に、
その決断をした自分を、
今日は少しだけ褒めてやりたい気分だった。

サウナとのこれから

これまでは、
サウナ = 自分と向き合う時間
サウナ = 視覚的情報を遮断する場所
そんな方程式が、私の中にあった。

浴室やサウナに人が多くいても、
感覚としては、ずっと「ひとり」。

でも、見えるようになると、少し違ってくる。
周りのお客さんの表情や、
露天風呂からの眺め、
お湯やサウナに表示された温度。

今まであまり意識していなかったものが、
自然と目に入ってくる。

「見える」というだけで、
サウナの過ごし方も、
ととのい方も、
少し変わってくるのかもしれない。

術後はじめてのサウナは、
そんなことを考えた時間だった。

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この記事を書いた人

長崎で暮らしています。
50代になり、ひとり時間の心地よさに気づきました。
蕎麦、サウナ、景色。
週末に出会った感覚を、このブログに綴っています。

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