見え方が変わった朝
手術の翌朝。
病院で眼帯を外して、窓の外を見た。
空が、くっきり青かった。
こんなに青かった?と思うくらい、
輪郭のはっきりした空だった。
夜の信号のにじみは消えていた。
白はちゃんと白で、光はまぶしいというより、澄んでいる。
見える、ってこういうことか、と
少しだけ静かに感動した。
55歳で白内障と診断された日
2024年10月。
55歳で白内障と診断された。
正直、ショックだった。
まだ55歳だけど?
白内障はもっと高齢になってからのもの、
という思い込みがあった。
診断名を聞いても、
すぐには受け入れきれなかった。
手術は怖かった。
できれば先延ばしにしたい気持ちもあった。
でも、この先の時間を考えたとき、
「見える状態」で過ごしたいと思った。
「もう50代だから」と言っていた自分
手術を終えて気づいたことがある。
私はいつの間にか、
「もう50代だから」と言うようになっていた。
無理はしない。
今さら新しいことは始めない。
体力も落ちるし、仕方ない。
そうやって、年齢を理由に
自分で小さく枠を作っていたのかもしれない。
押し入れのNikon D3300

押し入れの奥に、一眼レフがある。
Nikon D3300。
キットレンズの18-55mmと、50mmの単焦点。
昔は単焦点で背景をぼかすのが楽しかった。
でも、だんだん触らなくなった。
近眼のせいなのか、老眼のせいか
眼鏡越しにファインダーを覗くのが
なんとなく見えにくかったからだ。
iPhoneで十分。
そう言い聞かせていた部分もある(笑)
久しぶりに電源を入れて、
ファインダーを覗いた。
「あ、ちゃんと見える」
それだけで、少しうれしかった。
止めていたことを、もう一度
新しいことを始めるのは、少し構える。
でも、止めていたことを再開するのは、思ったより静かだ。
蕎麦が出てくるまでの数分。
サウナ帰りの夕焼け。
神社の鳥居越しの空。
特別ではない景色を、
今の自分の目で残してみたくなった。
上手く撮れなくてもいい。
画角も構図もまだ手探り。
それでも、自分の週末を
記録していこうと思った。
今日もD3300を持って
白内障の手術が、
人生を劇的に変えたわけではない。
急に前向きになったわけでもない。
ただ、
止めていたことをもう一度やってみようと
思えただけだ。
新しい挑戦じゃなくていい。
一度やめたことを、静かに再開する。
50代の再スタートは、
案外そのくらいでちょうどいいのかもしれない。
今日もD3300を持って、
週末に出かける。


